総評
第2回丹後「農業・農村」写真コンクールには、17名30点の応募作品が集まりました。昨年より7名、8点増えたことは、うれしい限りです。
審査は、昨年と同様にコンクールの趣旨を尊重して、一次選抜を投票方式で行いました。選考方式は、審査委員が、それぞれの票を投じる仕方で行いました。全体に甲乙つけ難く、票が割れました。
一次選考の結果の後、各審査委員の意見交換をし、新たに再度投票することで入選ならびに、賞作品を絞り込みました。またひとり1点の賞ならびに入選という配慮で、より多くの作品を選びました。
全体に作品は、農作業と風景の描写が目立ちました。特に、風景を背景に作業する人を主役として切り出したモノが目立った印象をもちました。いわゆる写真としての完成度よりも日常の淡々とした生活の一こまの視線や、丹後の空気感のようなものに眼が惹きつけられました。いわゆる、写真写りの映えるフォトジェニックな感じよりも、生活者の視点が息づいたものが、新鮮な印象を与えていたと思います。写真を写す側、写される側という境界が解け合い、ともするとそっけないほどに、また、ぶっきらぼうな距離感が、反対に写真を見る目を惹きつけたように感じます。毎年繰り返される自然の循環のようにあって、確かな日々の重なりを見せてくれたように思います。社会的風景とでもいえるこのような描写や切り出しは、確かな農業や農村への根の生えた眼差しを伝えてくれます。
数度の、選考の結果、以下の作品を賞作品として決定しました。
金賞 野口 清さんの「春耕」
銀賞 北垣正則さんの「共同作業」
銅賞 白杉紀久雄さんの「農村風景」
さらに審査員特別賞として、森 光司さんの「脱穀」を選びました。
残念ながら今回の賞にもれた作品もほとんど差はなく、確かな眼差しとカメラアイは、質の高さを自負できるといえます。
前回の生活風景への眼差しが、今回ではさらに息づく音や匂い、そして空気感として捉えられていたように思います。それも通過者や傍観者ではなく写真を撮る、撮られるという関係が、淡々と一体化し、ストレートな気持ちとして伝わってきました。いわゆるいい写真としてのプロトタイプにはまることなく、日常の中にあっての発見や気持ちの表出を、今後とも期待しています。
審査委員長 京都造形芸術大学 水野哲雄